金スマで紹介されていたやしきたかじんさんの晩年、彼女と過ごした2年間。私もアラカンと言われる世代になり、たかじんさんの気持ちは痛いほど伝わりました。

たかじんさんは、友達もお金も、名誉も女も、ひと通り手に入れた人です。

パーティを開けば、たかじんさんの大好きな女性がたくさん集まり、たかじんさんを一生の恩人と慕う男友達もたくさんいました。つねに何人もの遊び合い手がいて、女性には困りませんでした。

しかし、たかじんさんは孤独でした。たかじんさんの豪邸はキレイに片付き、そこには1人でひっそり暮らしていました。

たかじんさんの孤独とは、心の底から愛せる人がいなかったからだと思います。

たかじんさんは64歳で食道がんで亡くなります。亡くなる2年前、ある1人の女性と運命的な出会いをします。彼女は、イタリアで暮らしていたため、たかじんさんを知りませんでした。たかじんさんと知り合ったのはFacebook。それも犬の好きな人があつまるサイトでした。

後の妻となるさくらさんが日本に一時帰国した時に、2人は始めて出会います。それはたかじんさんのクリスマスパーティーの時でした。1時間ほどしかいなかったさくらさんに、たかじんさんは、タクシー代としてお金を渡します。

お金をもらうことに抵抗を感じたさくらさんは、後日お金を返すためにたかじんさんと会います。2回目の出会いで、たかじんさんはさくらさんにプロポーズします。

初めて会った時、たかじんさんはさくらさんに運命的な出会いを感じ、一目惚れします。戸惑うさくらさんでしたが、次第にたかじんさんに惹かれていきます。

ところが、出会って35日後に食道がんが見つかり、「60歳で豪快に死ぬ」と豪語してきたたかじんさんは非常に戸惑います。いまさらジタバタした姿を見せられないと思ったそうです。それでも、さくらさんから芸能人のやしきたかじんではなく1人の人間として生きて欲しいと言われ、手術に臨みます。

手術は成功しましたが、その後再発。もう残された時間はありませんでした。それから彼は、芸能人のやしきたかじんではない生き方を選び、彼女といっしょに生きる道を選びます。

そして、一般病棟から緩和ケアに移った時、病院の教会で2人だけで結婚式をあげます。それは、たかじんさんが亡くなる3ヶ月前でした。

さくらさんは、たかじんさんから片時も離れず、看病します。自分が突発性難聴になった時も、彼のために入院を拒否。彼女は片耳の聴力を失います。

そんなさくらさんの腕の中で、たかじんさんは静かに息を引き取ります。彼は、もっと生きたかった。豪遊していた時は、「いつ死んでもいい」と豪語していましたが、彼女と出会ってからは、「死ぬんは嫌や」とメモに残しています。

もっと生きたかったたかじんさんですが、彼女と出会った2年間は本当に幸せだったのだと思います。

心から愛し合える人と出会えたことは、本当に感謝の何ものでもありません。

「何万語、何億語、言葉を探しても、出てくる言葉は、さくら、ありがとう」とメモに残しています。

(※たかじんさんは、さくらさんとの2年間を2000枚のメモに残しています。)

もし、さくらさんと出会わなければ、
・彼の晩年はもっと味気ない物になっていたかもしれません。
・芸能人のやしきたかじんとしてかっこ良く死んでいったのかもしれません。
・でも、それは、底知れない孤独との戦いになったかもしれません。

たかじんさんは、さくらさんを守れないことを申し訳なく思い、親友の釣瓶さんや他の信頼できる友達に彼女を託します。また自分の財産のすべてをさくらさんに残す旨の遺言書を書きます。

世間では、年の差婚はとかく「財産狙い」と噂されます。たかじんさんが亡くなった後、10億の財産の行方を巡って、骨肉の争いも起きているようです。(※たかじんさんには、前妻の間に娘さんがいます)世間では、たかじんさんの財産を狙った悪女とも言われています。

しかし、たかじんさんにとって、さくらさんの年齢はどうでもよかったような気もします。出会った時、さくらさんは30歳でその歳の差は30歳以上ありました。さくらさんは、たかじんさんにとっては可愛い存在でした。でも、さくらさんが40歳でも、たぶん愛したのだと思います。

自分が心の底から大切に思う人に出会い、お互いが愛しあうこと。このことに年齢はあまり関係ないのだと思います。このようなことが経験できることが大切なのだと思います。

人を愛する気持ちは歳だからと言って封じ込める必要はありません。晩年の孤独を癒してくれるのは、「愛する人がいる」と言うことだと、金スマを見て思いました。

今回、人を愛すると言うことにスポットを当てた金スマでは、10億の財産の行方について触れることはありませんでした。

たかじんさんの葬儀もその後のさくらさんの言動も、さくらさんに対して色々な憶測が飛び交っています。たかじんさんの家族との確執もあると思います。

彼女がたかじんさんを誘惑したのか、その真実を知っているのは、さくらさんとたかじんさんの心からの友人達。そして家族。それで良いのかもしれません。また真実は、それぞれの人にとって違う可能性もありますしね。

万が一騙されたとしても、たかじんさんは愛する人に巡り会い、一緒に過ごせたことに感謝していたことは事実だと思います。私達世代は、孤独を諦めがちですが、いくつになっても信頼できるパートナーがいることは何事にも代えがたい喜びになると思います。

孤独を感じる人は、今からでも遅くはありません。パートナーを探しませんか。

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