中高年の恋愛や結婚に関して、最近話題の「事実婚」について50代後半の立場から色々調べてみました。
一昔前は、籍を入れずに夫婦と同じように生活する人を、「内縁の夫」や「内縁の妻」などと表現していましたよね。さらに「愛人」などと表現する人もいます。
内縁の妻は、夫の親や兄弟などの親戚とは付き合う義務もなく、相手の親族の冠婚葬祭などに無縁であっても何もとがめられることはありません。
その反面、内縁の妻は法律的には何の権利もないので、夫が亡くなった場合の保証は何もありません。(遺言などがあれば別ですが・・)
ところが、最近では、内縁の妻であっても、正式な妻と同じように認められる項目が増えてきています。
長い間尽くしてきた場合、内助の功が認められたケースもありました。
さらに、最近では夫婦別性など、婚姻関係に疑問を持つ若い人達が増えたことで、「事実婚」に注目が集まっています。
事実婚も婚姻届けと同じく、「事実婚の届け出」をすることで事実婚が認められます。
事実婚と法律婚の違い
まず、大きく違う所は、事実婚は、相手の戸籍に入らないと言うことです。ですから、苗字を変える必要がありません。
入籍しないと受けられない権利
- 税金の控除・・・配偶者特別控除や相手を保険金受取人にした生命保険料控除
- 厚生年金・・・厚生年金の年金分割
やはり、税金関係は法律婚をしていないと受けられない権利が多いようです。特に、配偶者控除に関しては難しいですね。
入籍しなくとも受けられる権利
- 住民票の記載・・・妻(見届)
- 健康保険の被扶養者(条件アリ)
- 国民年金の第3号被保険者(条件アリ)
- 遺族年金の受取人(条件アリ)
- 生命保険の死亡保険金受取人(会社による)
- 内縁の夫・妻の遺残相続(遺言が必要)
一定の条件があるものもありますが、生活するうえで大切な項目はある程度認められているようです。
住民票には、妻との記載ができます。ただし妻の所に「見届け」と追記されます。
また、遺産相続ですが、法律より遺言が強いので、かならず遺言は書いてもらいます。
仮に、相手の親族が遺言に不服として裁判を起こした場合、遺留分を取られますが、遺留分以外はしっかりもらえます。
中高年の結婚や再婚での事実婚のメリット
若い人の結婚では、子供の問題などがあり、子供ができた時点で法律婚に変更するか、認知と言う手続きを取る必要がありますが、50代以降の女性はまず子供の心配はないでしょう。
結婚や再婚で一番頭を悩ませること
私たち50代以降の結婚や再婚で頭を悩ませることをピックアップしてみました。
小さなことはもっとあるかもしれませんが、大きな問題はこんなところでしょうか。
まず、再婚で相手に子供がいる場合、結婚に賛成しないケースがあります。要するに認めてくれない訳ですね。
認められてない妻の立場は、非常にツライものがあると思います。
遺産問題が生じたときに、泥沼になる可能性もあります。
相手の子供との軋轢(あつれき)で再婚したことを後悔した女性をたくさん見ています。
また、50代以降の結婚ともなると、相手の親が年老いているケースが多く、結婚していきなり介護と言う事態も起こります。
相手が離婚しているなら良いのですが、相手が妻と死別している場合、家に仏壇がありお墓があります。
自分が亡くなったとき、その仏壇と墓に入れるのか? それは自分たちの死後を見る子供らに託すしかありません。
子どもが認めていない場合、夫に先立たれ一人になったときは非常に不安ですね。
このようなことを考えただけでも、結婚や再婚にうんざりする人も多いのではないでしょうか?
でも、老後は信頼できるパートナーと暮らしたい。
2人で映画を見たり、温泉旅行に行ったり、一緒に食事をしたり、お互い労わり合い助け合って暮らしたいと思う気持ちもあります。
寂しい老後はイヤですよね。
そんな所で悩んでいる方には、「事実婚」が良いのかな?と思います。
今まで内縁の妻は、法律的に守られていないと思ってきましたが、メリットを知れば案外事実婚でも良いのでは?と思います。
ただし、遺言だけはしっかり書いてもらいましょう。
事実婚だと不安な要素
ここまで知ると、事実婚と法律婚とものすごい差がないのでは?と思いがちですが、やはり解決されていない問題があります。
1つに病院関係です。
病院によってマチマチの対応になり一概に言えませんが、事実婚を認めており、病気の進行状況や治療方針の報告、手術の立ち会いを認めている病院もありますが、戸籍上の家族でないとダメと言う病院もあるようです。
(戸籍謄本を提出するわけではないので、妻だと言い張れば良いのかもしれませんが・・・名字が違うことでバレるケースもあります)
事実婚の場合、子どもを含めた親族がまったく知らなかったと言うケースがあり、すべての判断を内縁の妻に任せることにリスクを感じる病院もあるからです。
このあたりは、事実婚がもっと一般的になれば変わってくる可能性もありますが、事実婚に関しては今後どのようなルールが適応されるのかチェックしていきたいところです。
前妻と死別している男性と再婚した場合の心得
再婚相手が前妻と死別している場合、仏壇とお墓の問題があります。
相手に子供がいない場合は揉めることが少ないかもしれませんが、子供がいて結婚に反対の場合はトラブルになりかねません。
そんな時、事実婚なら仏壇やお墓も相手の家に入る必要がない分、気が楽と言えば楽です。
その代り、自分が死んだときの段取りを前もってしっかり決めておくと良いですね。
- 生家の墓に入れてもらう
- 新たに自分の墓を建てる
- 実子がいれば実子に任せる
- 共同墓地に入る
- 無縁仏として永大供養を済ませておく
などの対策が必要かと思います。
実際、法律婚ですら「夫のお墓に入りたくない」と思っている女性も多く、そのような方も含めて、50代以降の女性なら自分の死後のことを一度じっくり考えてみても良いと思います。